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学校長ごあいさつ

出典: 京都学園中学高等学校

[編集] 学校長ごあいさつ

[編集] 建学の精神

 本校の建学の精神は、世界的視野で主体的に考え、行動する人材の育成、つまり「世界の舞台に堂々と自分の意志で立ち、そして行動できる人を育てる」である。創立者の辻本光楠先生は、明治30年に15歳で単身アメリカ・サンフランシスコへ渡られた。当時、先生は学校で、欧米文化を取り入れた日本人が新大陸でアメリカ人と対等に渡り合っているとの話を聞かされていた。そこで自分の目で、日本人が新大陸で活躍をしている姿を見てみたいとお思いになり、ご両親の反対を押し切って渡米なさった。

 早速、昼間はサンフランシスコ郊外のブドウ畑で働き、夜は英語学校へ行き勉学に励まれた。ところが現地での日本人の姿は、先生が想像をしていたような勇姿ではなかった。ブドウ畑で働く日本人はアメリカ人の前で、言葉が通じず、ただただおどおどとしながら、奴隷の如く何も言えずに働かされていた。その様子を見て、先生は大いに失望された。そこで、先生は、次の時代を担う日本の若者に、世界のどの舞台に立っても堂々と自分の意志で行動できる人になってもらいたい、という熱き思いで本学を創立され、今年87周年を迎えた。

[編集] 私には何ができるかを考え、一心に行動する

 昨年の東日本大震災から一年を迎えました。震災をきっかけに、あらゆる機会を通して皆さんは行動することの大切さを心に刻んできたことと思います。本校においても、柔道部の皆さんやイギリス留学中の国際コースの皆さんの手で、復興を願う行動がはじまりました。文化祭ではその思いが1万2千羽の折り鶴となって現れました。

 毎年2月10日・11日には女川町長旗争奪全国高等学校柔道選手権大会が宮城県女川町で開催されています。柔道部の皆さんは関西地区代表として出場してきました。昨年の2月も女川町の皆様に温かく見守られながら、全国の強豪校と胸を合わせました。

 その1ヵ月後。町は惨禍に見舞われたのです。テレビを通じて報道される状況に私は言葉を失いました。柔道部の皆さんにとってはなおさらのことであったと思います。数日後、本来なら出場が決定していた日本武道館で開催される全国大会が中止となりました。そこで、柔道部の皆さんが自ら義援金活動の趣意書と義援金箱を作り、顧問に街頭での義援金活動を申し出ました。3月19日から21日の3日間。本来ならば全国大会が開催されていたはずの期間です。多くの皆様の支持を得て、義援金は女川町をはじめ震災地域に送られました。

[編集] 「一生懸命」努力すれば思いは必ず届く。

 この山田先生からの報告に私はじっと耳を傾けながら、多くのことを考えさせられました。一人ひとりが互いの尊い命を思い、日々の人との出会いに感謝すること。周りの人々の支えがあって初めて、高みの目標に向かい一生懸命に努力できること。だからこそ、自分自身が定めた高みに対して、決してあきらめることなく努力をし続けること。時には執念をも感じながら達成に邁進すること。一生懸命にがんばれば必ずいいことがあると信じ続け努力に努力を積み重ねること。その心は人に勇気や希望の光を与えることにつながるのです。

 人は決してひとりで生きていくことはできません。常に周りの方々に支えていただいているのです。一方で、自分から進んで、周りの方々への支えにならなければなりません。人から期待され、期待に応えられる人になること。今回の柔道部の皆さんの活動から、相手が喜ぶことをするという大切な生き方を学びました。

[編集] 当たり前の生活への感謝を心に刻みながら

 柔道部は、昨年8月秋田で行われたインターハイに出場しました。その大会終了後には、震災に遭われた東北地方の高校生との岩手県での合同合宿に参加。そして、合同合宿の後、宮城県の女川町へとお見舞いに向かいました。顧問の山田千歳先生から、この遠征を通して得た人のつながりの大切さについての次のような報告がありました。

 「岩手県での合同合宿の会場には、今年度インターハイ男子団体3位であった福島県立田村高等学校の皆さんが参加されていました。中には、原子力発電所の被災で、避難所から通学されている生徒さんもいらっしゃいました。生徒の皆さんにとっては、厳しい生活を余儀なくされた中での、全国大会団体3位でした。田村高校の監督の下山田先生に、厳しい環境の中での3位獲得に対し、私が、敬意を表した際、『山田先生、一生懸命にがんばっていたら必ずいいことがありますよ』とかえって激励されました。厳しい環境にありながら、つらいという表情さえ見せず、これからも共にがんばりましょうと逆に勇気をいただいたのです。

 そして、バスに乗って宮城県女川町に向かいました。目の前に広がる女川町は以前とは景観を異にしていました。美しい女川町の変わりように言葉を失い、涙が止まりませんでした。役場の皆様、そして、町民の方から『京都学園の生徒さんが来てくださったことが何よりも嬉しく、勇気を与えてくださいました。ありがとうございます』との言葉をいただき、こちらからはお見舞いの言葉と千羽鶴をお渡しし、女川町を後にしました。京都駅での解散時のミィーティングで、私たちが生きている当たり前の生活への感謝を心に刻みながら、贅沢せず、文句を言わず、自分の目標に対して一生懸命にがんばるということを、ずっとこれからも言い続けていくことを互いに誓い合いました。」

[編集] 本物の感動がキミを動かす十年後の礎を築く学校に

 京都学園で私はずっと、生徒の皆さんに「いつかプロ!今、本気!」と語りかけ続けてきました。誰でも10年後、本気で働く日が来る。だから今、本気でがんばれ!という意味です。

 本気になるにはどうすればいいか。“本物”に出会うことです。ホームステイから帰国したある生徒は、こう言いました。「本当に家族の一員として優しく接してくださいました。先生、私は人に手を差し伸べられる優しい人になります」。本物の優しさが、彼女を動かしたのです。本物に触れたときの感動には、人を動かす力がある。だから私たちはいつも、皆さんに「本物を見せたい!」と授業に臨んでいます。

 私たちは、生徒の皆さんが「今、何をすれば幸せになるのか」「今、何をしなければならないのか」を全力で考え、行動に移します。私たちの期待に応えて、いや、期待以上の自己進化を遂げ続けている学園生の姿は、本当に頼もしかぎりです。

 本校の今年度のスローガンは「生徒が喜ぶことを一生懸命にする。それが私たちの喜びである」です。一生懸命に輝き続ける皆さんの成長を支えていきたい。京都学園での3年間は短いけれど、ひたむきに挑戦し、貪欲に取り組んだことで生まれる力は、地球市民として生きる喜びと自信をもたらしてくれるはずです。10年後、皆さんに「京都学園に来てよかった」と心から喜んでいただけるような学校作りに、私たちはこれからも邁進いたします。


学校長 佐々井 宏平

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