学校長ごあいさつ
出典: 京都学園中学高等学校
[編集] ごあいさつ
一枚の名刺
- 今年の4月のある日、外出から帰ってくると机の上に一枚の名刺が置いてあった。『HONDA 雨宮一彦』、留守中に久しぶりに来校してくれていた12年前の卒業生だ。
- 「プロになったな」と感慨深げに名刺を取り上げじっと眺めた。『部品設備科 科長 上海本田貿易有限公司 上海市南京…』と彼の肩書と会社名そして住所が中国語で書かれていることに気付いた。中国上海の地でがんばっているのか、とあらためてこみあげてくるうれしさを感じながら、早速メールをした。数日後返事があった。
- 「先生、大変ご無沙汰いたしております。先日一時帰国の際に事前連絡もなく、突然寄せていただき大変失礼いたしました。先生にお会いすることができませんでしたが、守衛さんのご厚意で新校舎を見学させていただきました。また、今も変わらない部活の部室を見ながら、校内を散策しているとさまざまな学生時代を思い出し、『初心忘るべからず』と、原点に立ち戻り心を新たにすることができました。
- 卒業後、早いもので12年の歳月が経ち、現在は異国の地上海で日々奮闘しております。現在私が担当している上海・部品設備科では主に二輪部品の輸出入を行っています。海外から中国国内のホンダ二輪生産拠点への輸入部品の供給、もう一つは中国部品を世界各国の二輪生産拠点に対して部品を輸出・供給することです。特に後者の業務が急激に拡大しています。目の回るような忙しさですが、中国の躍動感を肌で感じ、日々失敗を繰り返しながらも、その中から成長を感じることができる環境です。グローバル化が進んだ現在において「社会に出る=世界に出る」という流れになっているように思えます。仕事をするうえで大切だと思うことは2つあります。一つは相手の立場に立って物事を考えるのを忘れないこと、もう一つはプロという自覚を持つことです。卒業から現在に至るまで様々なことがありましたが、自信を持って言えることは「これまでの人生に悔いなし」ということです。今後も京都学園の卒業生であることを誇りに思いながら、さらに仕事に取り組んで参ります。是非、次回の帰国の際にはお目にかかれますことを楽しみにしております」
- 当時から学園生には「いつかプロ!今、本気!」をいつでも言い続けてきた。「10年後は必ず来るぞ。その礎を今築いているのだ。だからこそ今本気になって取り組むぞ」ととくに受験に向け本当に一生懸命に頑張る3年生に授業中や進学講座で叱咤激励した日々を思い出しながら、メールを読んだ。彼は目標を掲げると、必ず達成した。高校2年生の秋、英検2級に合格すると決めたらとことん合格対策講座にチャレンジして合格を勝ち取った。がんばると結果は良と出る、その喜びを知った彼は、勉学に対する真摯な姿勢を貫徹し第一志望の大学にも合格。合格の報告に来たとき、がっちり握手し互いに大いに喜んだ。高校3年間で何事にも挑戦することの大切さを体得した彼は「先生、将来は世界に飛び出しますよ」と言っていた。あれから12年その言葉通り、今世界でプロとして責任を果たし、活躍する姿をメールから感じ取れた。喜びと自信に満ち溢れた悔いなき生き方。大いに共感し、感動した。
- 本校は今年創立85周年を迎えた。「将来世界のどの舞台に立っても堂々と自分の意志で行動できる人を育てる」この建学の精神を胸に私たちは、授業、部活動、海外研修、留学を通じて体感するかけがえのない人生の宝となる経験を提供し、真の地球市民としての優しさを追求してきた。京都学園での限りある学生時代に、何事にもひたむきに、時には貪欲に取り組もうではないか。その結果生まれる力は将来地球市民として地球で生きる喜びと自信を万人に与えるに違いない。10年後、みなさんが京都学園に来てよかったと心から喜んでいただけるような学校作りに私たちは奔走する。
学校長 佐々井 宏平
